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障がい児を育てながら働くシンフォニアテクノロジーの伊藤ちえ美さん=2024年12月26日、愛知県豊橋市の同社豊橋製作所、木村裕明撮影
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現場へ! 終わりなき育児に希望を(5)

 東海道新幹線が間近に走る電機メーカー、シンフォニアテクノロジーの豊橋製作所(愛知県豊橋市)で働く伊藤ちえ美さん(48)は昨年、離職の危機に直面した。

 勤続24年。短時間勤務制度などを利用し、知的障がいを伴う自閉症がある次女の育児と仕事をなんとか両立してきたが、特別支援学級に通う中3の次女が夏から精神的に不安定に。「学校から急に呼び出され、会社を抜けなければならないことが増えました」

 高校進学に備えて自力で登校する練習も始めたがうまくいかず、登校の付き添いが欠かせない日々も続いていた。

 育児を理由にした短時間勤務を使えたのは小学校卒業まで。中学に進学後は、使わずにためていた休暇を切り崩し、学校からの急な呼び出しなどに充ててきたが、積み立てた休暇も底をつきかけていた。万事休すか。

 窮地を救ったのは会社の新制度だった。障がい児や医療的ケア児を育てる社員は昨年4月から、「小6まで」だった短時間勤務などの育児関連制度を、子の年齢にかかわらず「事由消滅まで」使えるようになった。「18歳の壁」を超えて柔軟に働ける制度を導入する日本企業はわずかしかない。

 次女が高校に進んでも、終わりなき育児が続く伊藤さんには願ってもない「命綱」。今はこれを頼りに、安心して短時間勤務を続けている。「本当にありがたいです」

「会社と社員がウィンウィンの関係に」

 制度改正のきっかけは昨年の…

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